光の仕組みと性質

光の仕組みと性質

光は電場と磁場からなる電磁波、つまり空中を伝わる電気の波です。
この波の山と山の長さを波長といい、この違いによって目に見えたり見えなかったり、性質が異なったりするのです。

放射光の作り方

放射光は電子ビームを光とほぼ同じくらいの速さ(99.9999998%)にして、磁石で進路を曲げて作ります。

SPring-8では、ほぼ光の速さの電子ビームをぐるぐると回し、何度も磁石で曲げて一度にたくさんの放射光を作ります。

電子ビームとは?

電子ビームとは、電子が出る金属に電圧をかけることで、電子をビーム状にしたものをいいます。身近なところでは、ブラウン管テレビでも使用されていました。

SPring-8で電子ビームを回し続ける電力は?

電子は原子を構成している基本粒子の一つで、原子核の周りを回っている負の電荷をもつ粒子です。

また、放射光を作る際に使用する磁石には、「偏向電磁石」と「挿入光源(アンジュレータ)」というものがあります。

「偏向電磁石」は、波長の長い「赤外線」から、波長の短い「X線」までいろいろな波長の光を出すことができます。一方、「挿入光源」は、電子を周期的に小さく何度も蛇行させ、蛇行のたびに発生する放射光を干渉させることにより、特定領域のX線において偏向電磁石よりもさらに明るい光を出すことができます。それぞれの磁石は実験の目的によって使い分けられています。

放射光が出来たら、そのまま測定するものに当てるわけではありません。

できた放射光は、“ビームライン”と呼ばれる光のとりだし口へと導かれます。ビームラインを通過する放射光は、分光器で特定の波長の光だけが選択されたり、集光鏡で細く絞られた後、測定対象である試料に当てられます。

放射光活用事例

偏向電磁石とアンジュレータの使い分け

偏向電磁石は、放射光を発生させることだけでなく、電子ビームの進行方向を曲げ、電子ビームをリング状の加速管に閉じ込めるために使っています。挿入光源(アンジュレータ)は、発生する放射光の明るさを増幅し、さらに明るくするために使っています。

従来のX線光源(回転陽極X線管)とその明るさを比較すると、偏向電磁石では100万倍。アンジュレータ(通常4.5mのもの)からの光は、10億倍もの明るさになるといえます。

SPring-8では、最大27mの長さのアンジュレータを設置することができ、この場合、従来のX線光源の約100億倍の明るい放射光を得ることができます。

ちなみに、SPring-8に併設されたX線自由電子レーザー施設SACLAには、レーザー領域のX線のみを発生させるために、長さ5mのアンジュレータが21台、直線状に設置されています。