物質・材料科学シリーズ
2014年9月12日 13:12
「不思議な光・?線の発見」から100年後
兵庫県佐用町にあるここSPring-8・SACLAはともにX線・X線レーザーを出す世界一の施設なのじゃ。しかし、なぜ日本には2つの世界一があるのだろう?その答えは、100年前につながってくるのである。
1895年 ドイツのレントゲン博士は、真空放電の実験を行っているときに、偶然・・・不思議な"光"を発見した。自分の手を光にかざしてみると、手の骨がくっきり写っていたので博士はビックリ!博士はこの正体の分からない新しい光を"X線"と名付けた。われわれが病院で写真を撮る検査「レントゲン」は、X線を世界で最初に発見した人の名前をとったのじゃ。
100年近い「結晶学」の歴史で48名がノーベル賞を受賞
レントゲン博士によるX線の発見が、「結晶学」の幕開けとなり、1912年ドイツのラウエが結晶にX線をあてると斑点模様が見えることを発見し(図1)、X線が電磁波であることを証明しました。図1をわかり易く例えると、レーザーポインターの光を壁に当てると点だが、光に細かく編んだ網目をかざすと斑点が映るのと同じだ。翌1913年にはイギリスのブラッグ親子がX線を使って塩の結晶中の原子が規則正しく並んでいる構造を明らかにした(図2)。
しかし、その同じ頃、日本でも同様の実験を進めていた科学者がおった。それが、寺田寅彦・西川正治だ。
二人は、固体から繊維まで様々な物質内で原子が並んでいる様子をX線を使って調べ、結晶の性質を知ることができるようになったのだ。柔らかい、溶けやすい、電気を通すなどの性質がわかると様々な分野での研究に応用できる。結晶の美しさや神秘性は、はるか昔から多くの学者達を魅了してきたのである。
じゃ、このX線は何に使えるのか?
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当時のX線でカエルの筋肉を撮ろうとしたけれど、筋肉は軽い元素からできているため、30分X線を当てても何も写らなかった。 |
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しかし、100年後SPring-8では、1秒以下でカエルの筋肉のX線回折を見ることができた。しかも、筋肉が力を出している時といない時とで、回折が変わることもわかった。これは筋肉の中で分子が働いて力を出していることを示している。筋肉の仕組み・タンパク質の構造がわかると、全身の筋肉が次第に弱くなり思うように体を動かせなくなる病気の治療法の開発にもつながるのじゃ。 |
今から、100年前・・・、
日本の歴史に名を残す寺田・西川は、乏しい実験設備、教科書もない、誰もやったことのない初めての事を手探りで最先端の光「X線」を使った物質の研究で、世界の最先端に肩を並べていた。 そのことが、100年後、「X線」と「X線レーザー」の最先端の光を放つ2つの世界一、SPring-8・SACLAを日本に生み出したのである。
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物質・材料科学シリーズ
2014年9月12日 13:12