生命科学・バイオテクノロジーシリーズ
2013年11月11日 14:08
昆虫の羽ばたきを解明
あ~眠いよ、博士。。。
どうしたの?
耳元で『ブーン』って、夜中に蚊の音で起こされて、寝た気がしないんだー!!
蚊は、1秒間に500回も羽ばたいているから、羽の音があの『ブーン』という高音になって聞こえるんだよ。小さな昆虫ほど速く羽ばたいて、羽ばたきの回数も多いんだ。
たった1秒間にそれだけの回数、羽ばたいているとは驚きだね!!
でも、どうしてそんなに速く羽ばたくことが出来るんだろう?
速い羽ばたきが出来るのは、昆虫の羽を動かす筋肉(飛翔筋*ひしょうきん)が伸びたり縮んだりを繰返す動きをしているからだよ。「昆虫の羽ばたき」については、いまだに謎が多いんだけど、少しずつ分かってきたこともあるんだ。
どんなことが、わかったの?
JASRIの岩本裕之主幹研究員、八木直人コーディネーターの研究グループが、生きたハチの胸部にSPring-8の中でも最も明るいビームラインのX線を当てて、高速ビデオカメラを使い、1秒間に120回の速さで羽ばたいている「マルハナバチ」を世界最高速の1秒間5000コマの速さで撮影することに成功したんだよ。
今までは、昆虫が速く羽ばたけるのは、飛翔筋には他の筋肉にはない特殊なタンパク質があるからだと思われていたけれども、実験の結果、脊椎動物にもある「ミオシン」と呼ばれるタンパク質が一般的にもっている性質をうまく利用しているらしいことを突き止めたんだ。
じゃ人間も脊椎動物だから、ぼくの筋肉にも「ミオシン」あるのかな?
もちろんあるよ!!
ヒトの心臓も心筋という筋肉だよ。心臓の拍動と、昆虫の飛翔筋の動きはよく似ているんだよ。
今回の研究で脊椎動物の筋肉との共通性が明らかになったことで、昆虫の飛翔筋は心筋の働きなどをよりよく理解するためのモデル材料として役立っていくことと思います。
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本成果は、SPring-8 NEWS 5月号で研究成果・トピックスとして取り上げられる予定です。こちらもぜひご覧ください。
生命科学・バイオテクノロジーシリーズ
2013年11月11日 14:08