地球・惑星科学シリーズ
2013年10月18日 09:04
月の隕石から発見!!
こんにちは☆ボクは、地球から約38万km離れた月からやってきた隕石だよ。
隕石は地表に到着するまでに大気との衝突によって破片になることもあれば、大きな塊のまま落ちてくることもあるんだよ!
月ってどんなところなの?
月はたくさんの天体の中でも、地球に一番近いところにあるんだ。大きさは地球よりずっと小さく、月の直径は地球の約4分の1。昼の気温は130°Cで、夜の気温は−170°Cになるんだ。月には、大きな隕石が衝突して出来たクレーターがたくさんあって、月の表面はレゴリス(砂)と呼ばれる隕石などによって細かく砕かれた岩石が積もっているんだ!!
月に隕石が衝突したの?
そうだよ。月は約45億年前に誕生して、38~41億年前頃 月の周りには大小たくさんの小天体が漂っていて、天体同士が衝突することがたびたび繰返されていたんだ。その証拠が2006年モロッコで発見された隕石を、広島大の宮原准教授、東北大の大谷教授を中心とした研究グループがSPring-8の強力な放射光X線で観察して、大昔、月に隕石が衝突した痕跡を見つけたんだ!!
どんな痕跡があったの?
隕石の組織に、二酸化ケイ素に高い圧力が加えられてできる鉱物(ザイフェルタイト)を見つけたんだ。これは、月に小天体が衝突した時に発生する衝撃波で非常に高い圧力が発生した時の痕跡なんだ。ザイフェルタイトが火星から飛来した隕石以外で確認されたのは初めてなんだよ。
ザイフェルタイトの発見から何がわかるの?
ザイフェルタイトは、「ダイヤモンドアンビルセル」と呼ばれる装置を使って高圧状態をつくり出すことにより人工的に作ることが出来るんだ。2つのダイヤモンドの間に試料を挟み、六角レンチを使って手でネジを締めるだけで、数百万気圧もの巨大な圧力を加えることが出来るんだけど、その装置でザイフェルタイトができるには少なくとも40万気圧以上の超高圧条件が必要であることが分かったんだ。君たちが普段生活しているのは、1気圧の環境だから、40万気圧ってどの位すごいことが分かるよね。
ほんとだね。
モロッコで発見された隕石には27億年前頃にも激しい隕石衝突が続いていた痕跡があったんだ。月と地球はすぐ近くに位置しているから地球にも隕石が衝突していた可能性があるんだよ。この頃には原始生命の形成が始まっていて、この衝突が原始生命の進化に影響を及ぼした可能性があるんだ。月に記録された隕石衝突史を研究することで、地球への隕石衝突史も明らかにすることが出来ると期待されているんだって。
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本成果は、SPring-8 NEWS 3月号で研究成果・トピックスとして取り上げられる予定です。こちらもぜひご覧ください。
地球・惑星科学シリーズ
2013年10月18日 09:04