地球・惑星科学シリーズ
2011年9月29日 09:31
はじめまして!ボク、地球から遠く離れた小惑星・イトカワから、はやぶさ探査機くんとやってきました、微粒子です!!とってもとっても小さいんだけど、1000粒以上のたくさんの仲間と共にやっと無事に地球に辿り着きました。ふぅーっ!
無事に連れて来てくれた、はやぶさ君には本当に感謝しているよ!
地球のみんなが不思議に思っていたことが一つでも多くボクたちからわかったらいいな、と思っています。
君たち微粒子は、色々な謎を解き明かしてくれるって、テレビでもやってたよ!
SPring-8でも君たちの仲間の分析が行われたって言ってた!
SPring-8では“X線マイクロCT”という装置で、ボク達40個のそれぞれについて3次元内部構造と3次元外形が非破壊で調べられたんだよ。
SPring-8ではどんなことがわかったの?
まず、ボクの体は、今までに地球で発見された隕石と同じような組成で出来ていることがわかったよ。次に、観察されたボク達40個の構造から、熱による影響をうけたことがある仲間と、あまり熱の影響を受けていない仲間がいることがわかった。
このことが、はやぶさくんに連れてきてもらった仲間だけじゃなく、イトカワ全体の仲間にも言えることであれば、イトカワが“ラブルパイル小惑星”と呼ばれる、岩や石が弱い重力で寄り集まってできた天体であることが言えるんだ。これは、今まで地球のみんなが推測していたことを証明したことにつながるよ。
スゴイ!キミたちの小さな体から、イトカワ全体の事までわかってきちゃうんだね!
ボク達からわかったのは、それだけじゃないよ。
40個のボクの仲間のサイズを測った結果からは、ボク達が拾われた、イトカワの滑らかな部分には、月やその他の大きめの小惑星に比べて小さな粒子が少ないことがわかった。
イトカワに、他の隕石がぶつかったりしたときに、一番小さな粒子はどっかにいっちゃったのかもしれないね。
そう考えるのが一番良さそうだね。イトカワの重力は、とても小さいんだ。
SPring-8で調べられたボク達微粒子の3次元的な外形からは、小さなボク達が、イトカワの表面で転がったり、ぶつかりあっていたこともわかってきたよ。ボク達の表面にある角が、とんがっているものだけではなくて、ところどころ丸いものも観察されたんだ。
ボク達の外形からは、ボク達が隕石の衝突によって出来たことが考えられるんだけど、とんがっている角だけじゃなく、ところどころ丸い角があることで、何かの理由で丸くなったという事だからね。
月の表面の粒子で観察されていた、とけて丸くなった跡も観察されなかったんだね。月とイトカワの微粒子の違い、これも今回初めてわかったことの一つだね!
今回、SPring-8でわかった結果からは、小惑星の表面で粒子が重力や隕石の衝突等の理由で活発に動いていることが明らかになった。
大阪大学の土`山先生は、ボク達から観察できたことを組み合わせることで、『これまで推測でしかなかったことが確実になっただけでなく、予測もしていなかったことも見えてきた!!』って喜んでくれていたよ。本当に良かった!
SPring-8で観察された時間はまだまだ短い。きっと、土`山先生は、ボク達から色々な宇宙の謎の答えを導き出してくれると思うから、楽しみにしててね。
地球・惑星科学シリーズ
2011年9月29日 09:31